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柔らかな風が背を押す
結んでいた髪が解けるように
今ならきっと伝えられるの
内緒にしていた恋心
夕凪 影法師
唯、咲くは|女郎花《オミエナシ》
行く宛迷う手紙
君へと綴った想いが舞う
泡沫に咲いた夏 靡く藍の詩
私の中、未だ残っている
焦がれた感情が
澄み渡る空の下 香る金木犀
君に捧ぐこの祈りもまたいつの日か
届くかな
真夜中に虹が架かるような
見えもしない二人描いていた
水面に映った言葉は
私が閉じ込めていた本音だった
待つだけ繰り返し 季節が過ぎて
この気持ちはもう止まらない
抑えられない
宵浮かぶ|月光《つきひかり》 滲む哀の|聲《こえ》
胸を締め付ける切なさに
雫溢れた
静けさに溶け込んだ秋の匂いが
私の空白を少しずつ埋めていく
言えなかった 言えずにいた
怖かったの
夢に現れても
その目を見れずにいた
鼓動は加速する
有りっ丈の想いを込めて言うよ
君を前に熱くなる 張り裂けそうだ
神様、お願い 届けて
膨らんだ感情を
茜差し影並ぶ 時間は過ぎて
照れくさそうに俯いた君が言う
やっと言えた。